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3. この木なんの木 コーヒーノキ

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これまで、コーヒー(アラビカ種)の故郷は、人類の故郷に近いエチオピアであることをお話してきました。しかし、そもそもコーヒーとはどのようなものでしょうか。巷では"アラビカ100%"や"ゲイシャ"などが当たり前のように使われていますが、プロでも種や品種を混同してしまうことがあります。今回のおはなしでは、コーヒーノキの種や品種について整理いただく一助になればと思っています。

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コーヒー豆はコーヒーノキという植物の果実の種を焙煎したものです。茶色く焙煎された豆を見ていると種ということを意識することは少ないですよね。それでは、コーヒーノキはどのような植物でしょうか。
植物の分類は『分類学の父』とも呼ばれる、スウェーデンの博物学者 カール・フォン・リンネ(1707-1778)によって確立され、その後様々な研究で体系化されました。ちなみに、現生人類をホモ=サピエンスと名付けたのもリンネです。
その体系は上位から、界(Kingdom)・門(Division)・網(Class)・目(Order)・科(Family)・属(Genus)・種(Species)・品種(Cultivar)という階層になっています。こちらに従うと、コーヒーノキは以下のように分類されます。

植物界・被子植物門・双子葉植物綱・リンドウ目・アカネ科・コーヒーノキ属

コーヒーノキ属の種は現在125種が知られていて、その中でもコーヒー豆を収穫するために栽培されているのは以下のたった3種です。さらに、スペシャルティコーヒーと呼ばれるのは原則アラビカ種のみ。そう考えると、なんて貴重な植物なんでしょう!

 アラビカ種
  ティピカ品種
  ブルボン品種
  カトゥーラ品種
  ゲイシャ品種
  カスティージョ品種(ハイブリッド)
  etc.
 カネフォラ種
  ロブスタ品種
  etc.
 リベリカ種

アラビカ種は現在生産されているコーヒーの約65%を占めています。一般的に好まれる風味を持つのが長所。ただ、サビ病など植物がかかる病気に弱いという短所があります。
カネフォラ種は現在生産されているコーヒーの約35%を占めています。病気に強い強靭な性質が長所。しかしながら、強い苦味と重さを伴い香味で、風味に劣るという点が短所です。代表的なロブスタ品種にちなみ"ロブスタ"と呼ばれることもあります。
また、近年アラビカ種とカネフォラ種をかけ合わせたハイブリッドと呼ばれる品種も創出されています。ハイブリッドはアラビカ種から風味の良さ、カネフォラ種から耐病性の高さを受け継いでいます。これらはアラビカ種として分類されます。
リベリカ種はアジアや西アフリカの一部で生産されています。こちらは全生産量の1~2%にすぎません。

コーヒー豆の説明などに良くある"ブルボン"や"ゲイシャ"は、アラビカ種に属する品種のことです。
なお、品種であるブルボン(例)のことを"ブルボン種"と称することがありますが、上述の体系に従うと誤りです。品種は種の下位の分類になりますので、正しくは"品種ブルボン"、もしくは"ブルボン品種"、単に"ブルボン"と称します。

ここまででコーヒーノキとその種、品種について概要を説明してきました。
次回以降ではアラビカ種の代表的な品種のルーツを見ていきたいと思います。

※過去の記事は、画面上部のCATEGORYにある"コーヒーのおはなし"からご覧いただけます。

[参考]
石脇智広著『コーヒー「こつ」の科学』(柴田書店 2008)
旦部幸博著『コーヒーの科学-「おいしさ」はどこで生まれるのか-』(講談社 2016)
伊藤亮太著『常識が変わるスペシャルティコーヒー入門』(青春出版社 2016)
宇田明、桐生進著『花屋さんが知っておきたい花の小事典-花ビジネスから花好きの消費者まで-』(農山漁村文化協会 2013)

カップ:アラビア クロッカス
コーヒー:ブラジル ダテーラ

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