2. エデンの園とコーヒーの実
皆さんは「知恵の実」をご存知でしょうか?
知恵の実はキリスト教やイスラム教の聖典でもある「旧約聖書」の中で語られています。
エデンの園で人類の祖先であるアダムとイブが知恵の実を食べたことで原罪を負った、という「創世記」にある失楽園の物語。誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
多くの絵画で描かれていることから、この禁断の実はリンゴというのが定説です。
某コンピュータ会社のロゴもこの物語に由来しているとかいないとか...
しかし実のところ、聖書に「この実がリンゴであった」とは一言も書いてありません。
専門家の中でもこの実が何であったか議論が別れていて、リンゴの他にイチジク、ザクロなどの諸説があります。その中でも最も想像力逞しい説が、コーヒーが知恵の実だったのではないかというものです。
ところで、現在見つかっている人類の最古の化石の一つは、エチオピア北部で見つかっています。これも諸説ありますが、私たちの遠い祖先はエチオピア付近に住んでいたのは概ね事実と考えられています。
そして、人類には50万年ほど前に、脳機能の大幅な増大がありました。
それにより、人類は言語・通貨、神・理念など、抽象度の高い概念やフィクションを作り集団をまとめ上げ、他の動物やネアンデルタール人などライバルの原生人類を凌駕する存在になっていったのです。
昔エチオピアにエデンの園という楽園があり、そこにいたご先祖様が蛇にそそのかされてコーヒーの実を食べ...
想像の羽を自由に伸ばすと、そんな物語が思い浮かんきそうです。
思えば、リンゴよりカフェインの覚醒作用があるコーヒーのほうが知恵の実の座に相応しいのかもしれません。
エチオピアの森林に繁茂していた野生のコーヒーの実が人類に知恵を与えた。
この説自体は飛躍した想像に過ぎないかもしれません。
それでも、一杯のコーヒーを飲みながらそんな壮大な空想をするのも楽しいものです。
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[参考]
アントニー・ワイルド著 『コーヒーの真実』(白楊社 2011)
上馬キリスト教会著 『世界一ゆるい聖書入門』(講談社 2018)
ユヴァル・ノア・ハラリ著 『サピエンス全史(上)』(河出書房新社 2016)
NHKスペシャル 人類誕生 エピソード1,2 (NHK 2018)
カップ:スタヴァンゲルフリント ブルーベリー
コーヒー:グアテマラ エル・ディアマンテ ブルボン